ジュロン島で生産される石油化学製品
番号が小さいほど川上、大きいほど川下となります。
それぞれの工程、化学製品における主な製造会社も記載します。
どんな化学メーカーが原料を作って、どんな化学メーカーがどんな石油化学製品を作るのか、まとめてみると面白いです。
①石油精製(by ExxonMobil, Shell, SRC)
→ ②ナフサクラッカー(by ExxonMobile)
→ ②芳香族炭化水素(by ExxonMobile)
②ナフサクラッカーにより精製される原料(by ExxonMobile)
→ ③エチレン
→ ③ベンゼン
→ ③プロピレン
→ ③C₄s
→ ③アセチレン
②芳香族炭化水素(by ExxonMobile)
→ ③ベンゼン
→ ③トルエン
→ ③キシレン
③エチレンを原料として生産される基礎化学品
→ ④酢酸ビニルモノマー(VAM)(by Celanese)
→ ④エチレン系エラストマー(ERP, EBR)(by Mitsui Elastomers Singapore)
→ ④エチレンオキサイド/エチレングリコール(EO/EG)(by EGS)
→ ④低密度ポリエチレン(LDPE)(by TPC)
→ ④リニアポリエチレン(LLDPE)(by TPC, ExxonMobile)
→ ④高密度ポリエチレン(HDPE)(by CPSC)
→ ④メタクリル酸メチル(MMA)(by Lucite)
③ベンゼンを原料として生産される基礎化学品
→ ④スチレンモノマー/プロピレンオキサイド(SM/PO)(by Seraya, Ellba)
→ ④フェノール(by 三井化学)
→ ④シクロヘキサン(by Mobil) → ⑤アジピン酸 (Invista) -> ナイロン6,6 (DuPont)
③プロピレンを原料として生産される基礎化学品
→ ④ポリプロピレン(PP)(by TPC, ExxonMobile)
→ ④イソプロピルアルコール(IPA)(by Shell)
→ ④アクリル酸(by 住友化学)
→ ④N-ブチルアルデヒド → ⑤N-ブタノール (by EASTMAN)
→ ④I-ブチルアルデヒド → ⑤ネオペンチルアルコール, エステル (by EASTMAN)
③C₄sを原料として生産される基礎化学品
→ ④イソブチレン → ⑤メタクリル酸メチル(MMA) → ⑥アクリル樹脂(PMMA)(by 住友化学)
→ ④ブテン → ⑤イソノナノール(INA)(by ExxonMobile)
→ ④ブタジエン → メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン (MBS)(by Rohm & Hass)
③アセチレンを原料として生産される基礎化学品
→ ④アセチレンブラック(by DENKA)
③キシレンを原料として生産される基礎化学品
→ ④オルソキシレン(by LONZA)
→ ④メタキシレン -> 高純度イソフタル酸(PIA)(by LONZA)
→ ④パラキシレン(by LONZA)
④エチレンオキサイド/エチレングリコールを原料とした化学品
→ ⑤エトキシレート(by EMPL, AKZO NOVEL)
④スチレンモノマー/プロピレンオキサイドを原料とした化学品
→ ⑤プロピレングリコール(PG)(by Seraya)
→ ⑤ポリスチレン(PS) (by TotalPetchems, DENKA)
→ ⑤発泡スチロール(by Sekisui)
④フェノールを原料とした化学品
→ ⑤ビスフェノールA (by 三井化学)
→ ⑤キシレノール (by 旭化成)
→ ⑤パラターシャリーブチルフェノール(PTBP) (by DIC)
④アクリル酸を原料とした化学品
→ ⑤高吸水性高分子(SAP)(by 住友化学)
→ ⑤アクリレート(by 住友化学)
何が言いたいか
ここで何を言いたいかというと、シンガポールのジュロン島では石油精製から一次製品まで一貫して製造が可能であり、世界の化学産業の縮図がわかります。
石油コンビナートと呼ばれる工業地帯には、このように石油化学をベースとする化学メーカーが集中します。
ただ、通常は地域によって偏りがあります。
例えば、日本なら日系、ヨーロッパならヨーロッパ系、アメリカならアメリカ系の企業が集まります。
シンガポールは立地の都合上だけでなく、世界中の企業を誘致したことで今のようなグローバル化した石油化学チェーンが完成しました。
ジュロン島の化学工場を見れば、 世界の石油化学がよくわかります。
まとめ
観光大国、金融大国と呼ばれるシンガポールのイメージからは程遠いと思いますが、ジュロン島には世界の石油化学を支える化学メーカーが集まっています。
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