記憶に新しい第二次海外移住ブーム
2001年ごろから始まったのが第二次海外移住ブームです。
バブル経済の主役となった銀行が引き起こした不良債権などが原因となって、今度は一転、出口の見えない不況となりました。
「失われた10年」と呼ばれましたが、閉塞社会はいまだに続いています。
というのも、世の中に蔓延したのがリストラの嵐でした。
53歳前後で早期退職できるのはまだ幸せな人で、企業の最重要再生策として40代、30代の働き盛りの人が大量に解雇されることとなりました。
もちろん、次の就職先があればなんとかなりますが、それは夢物語のようなもので、「ホームレス」という言葉がなんの違和感もなく社会に溶け込むほどになってしまいました。
最も深刻な状況に陥ってしまったのは50代前半の人たちでした。
リストラされたものの、仕事がありません。
といって年金を受給できる年齢に達するまでまだ何年もの長い道のりが待っています。
- 「年金が受給できる年齢になるまで、物価の安い国でなんとか生き延びよう」
という考えに至ることとなりました。
一方、若い世代では、誰でも簡単に1年間働きながら滞在できるワーキングホリデー制度がブームとなり、数多くの若者が海外へ旅立つこととなりました。
渡航希望者の相談は「社会法人日本ワーキングホリデー協会」が担っていたものの、財政的な問題から急増する留学業者との連携を図り、いつしか「業者のための業界」と呼ばれるようになりました。
そんな背景もあり、2010年6月、同協会は民主党政権の事業仕分けによって解散が決定しました。
公的機関によるワーキングホリデーの相談窓口は消滅しました。
しかし、ワーキングホリデーの人気の高さは現在も変わらず、当初3ヵ国であった実施国は今や10ヵ国を声、多くの日本人の若者を受け入れています。
「1ヶ月10万円以下で暮らす」ということが切実なテーマとなっていきました。