海外赴任や海外の現地採用で働く際、お子様のいる家庭であれば『教育』を第一に考える方が多いと思います。
教育方針により、海外へ帯同させるか日本に残して単身赴任するかが決まり、どちらのケースも多い印象です。
そして、何より『帰国子女』という特権が最強だと思っています。
私自身『帰国子女』の特権を使って高校受験した経緯があるので、今回はその後の進学も視野に入れ、帰国子女にオススメの高校6選を解説します。
- 海外だと日本と教育プログラムが違うから心配
- 日本の高校に行くなら日本で育てたほうがいいに決まってる
- 日本の高校へ通わせたいが、まだ仕事で海外にいなければならない、どうしよう
いろいろなご意見があると思いますが、海外の日本人学校であれ、現地校であれ、『帰国子女』であれば有名大学への進学まで非常に有利です。
その理由もしっかり解説します。
『帰国子女』の特権を活かした高校受験
日本には帰国子女特別の募集要項、いわゆる『帰国子女枠』を設けている高校が何校もあります。
こういった高校ではさらに、アジアを中心とした日本人学校出身者を対象とした受験、欧米系の現地校出身者を対象とした受験など地域の特性に合わせた試験が用意されています。
その中でもさらに、親御さんが海外にいることを前提に『学生寮』を用意している高校もありますが、それはかなり限られます。
今回ご紹介する6校には学生寮があることを大前提としており、さらにその先の進学まで視野にいれて帰国子女にオススメの高校を厳選しました。
各高校の帰国子女枠数と一緒に記載しています。
- 国際基督教大学高校(ICU):150~200名ほど
- 同志社国際高校:120名ほど
- 早稲田渋谷シンガポール校:100名ほど(全校生徒が帰国子女)
- 慶應義塾ニューヨーク学院:90名ほど(一般生込み)
- 立命館宇治高校:40名ほど
- 早稲田大学本庄学院高校:25名ほど
すべて有名大学の附属または系属の高校です。
何を重視するかはご家庭によって違うので、ここで順位付けする基準となるのは次の2点です。
- 帰国子女の入学難易度
- 大学への進学難易度
親御さんもこれから受験勉強に取り組む中学生の方もぜひご覧ください。
1位:早稲田渋谷シンガポール校
早稲田渋谷シンガポール校は、アジア諸国を中心とする在外邦人子女のための高等部教育施設として、1991年渋谷幕張シンガポール校として設立されました。
その後、2002年に早稲田大学の系属校となり、早稲田渋谷シンガポール校と名称変更して今に至っています。
- 約4割:シンガポール日本人学校中学部の卒業生
- 約6割:近隣アジア諸国を中心とした日本人学校卒業生や、高校入学の段階で日本からの赴任で保護者に帯同してきた生徒
全校生徒は300名弱(1学年100~110名程度)で、そのうち約半数は寮生となっています。
魅力①:早稲田渋谷シンガポール校の進学実績
早稲田渋谷シンガポール校の卒業後進路は、豊富な推薦枠が用意されています。
- 早稲田大学:70名ほど
- GMARCH及び関関同立:40名以上
大学受験の心配もありません。
魅力②:早稲田渋谷シンガポール校の高校受験
早稲田渋谷シンガポール校には東南アジアの帰国子女が多く、ほとんどが日本人学校出身者です。
そのため、これまでは下記のように国数英の受験であったため欧米諸国の帰国子女は非常に不利でした。
試験科目(各100点)
- 国語
- 数学
- 英語(リスニング含む)
受験資格・条件
- 出願時に保護者が海外で就労かつ居住していること
英語外部試験利用入試(2018年〜)
2018年度入学試験より、『英語外部試験利用入試』の実施が始まりました。
過去2年以内に以下いずれかを取得している場合は、入試の英語得点を満点とできます。
- TOEFL iBT 72
- TOEIC4 技能 1095
- IELTS 5.5
- 英検準1級
デメリット:学費が超高い
でも、もちろんメリットばかりではありません。
ただでさえ物価の高いシンガポールにこんな天国のような高校があるのです。
在外教育施設のため日本にある私立学校のような政府の補助がなく、かなり高額になります。
- 初年度の入学金・授業料:約34,000シンガポールドル(約272万円)
- 寮費:約17,000シンガポールドル/年(約136万円)
- 2年目以降の授業料:約27,000シンガポールドル(約220万円)
私立大学より授業料が高いなんて、、、
これ、入寮させたら年間400万円近く払うことになりますね。
会社の補助が得られたり、金銭面に問題のない方は絶対に検討すべき高校です。
早稲田渋谷シンガポール校に関する詳細な情報はこちらの記事をご参考ください。
2位:同志社国際高校
同志社国際高等学校は、文科省指定の帰国子女受け入れ専門の高校として1980年に設立されました。
その後、1988年に同敷地内に同志社国際中学校が設立され、学校法人同志社の数ある付属校の中でも「帰国子女」という特徴を持つ、中高大一貫の教育体制が完備されています。
同志社国際高校は京都府にありながら全校生徒の2/3が帰国子女という特徴があります。
そのため、学校内では英語で会話をする人も多くみられるユニークな高校です。
大学進学も高校受験も非常に魅力的です。
魅力①:誰でも進学できる同志社大学
同志社国際高校に通っていれば、どんなに成績が悪くても同志社大学へエスカレーターで進学できます。
入学試験もありません。
学部の決定は2ステップです。
- 希望の学部を5つくらい書いて提出
- 成績順に決定
成績が悪いと、もちろん希望の学部へは行けません。
成績が悪い生徒は、自動的に法学部法律学科へ確定し大学で苦労していました。
同じ法学部でも、政治学科と法律学科では、しんどさが天と地の差があるのです。
希望の学部にもし行けないとしても、同志社大学へはほぼ確実に進学できます。
どんな大企業への就活でも、同志社大学は学歴フィルターにはギリギリ引っかかることができるので、苦労なしで進学できるのは非常に魅力的だと思います。
魅力②:英語が話せる人と内申点の高い人は確実に受かる高校受験
早稲田渋谷シンガポール校の高校受験と大きく異なるのは、日本人学校出身者よりも英語圏出身者のほうが圧倒的に有利であることです。
3つに分けられた選考の特徴を説明します。
1. 英語が話せれば確実に受かるA選考
欧米の現地校で教育を受けてきた帰国子女向けの受験です。
現地での外国語を用いた小論文、面接、書類審査(成績)となりますが、A選考を受ける9割以上の生徒は英語です。
英語が話せれば、ほぼ確実に同志社国際高校は入学できます。
面接試験は、謎の保護者同伴です。
2. 日本人学校出身者向けのB選考(3教科受験)
12月に行われる国数英の3教科による受験です。
海外の日本人学校へ通っていた多くの生徒は、現地の言葉ではなく日本語で生活が成り立ちます。
そのため、A選考を受けるという選択は珍しく、日本人学校出身者はほぼB選考を受けます。
勉強ができる方ではなかったので、ちゃんと受験勉強をして何とか合格しました。
もともとの頭の良し悪しにもよりますが、一般的には、受験勉強が必要です。
偏差値は65ほどと言われています。
3. 通知表の内申点が良ければ必ず受かる特別推薦
特別推薦には条件Aと条件Bがあります。
条件Bが一番お得で、中学校のレベルに関係なく、内申点が40以上であれば受かります。
もし同志社国際高校を目指すのであれば、先生との良好な関係性の構築を頑張りましょう。
以下、2つの募集要項をそれぞれ抜粋します。
〈条件A〉優れた語学力を持つ者(つぎの①~⑨のいずれか 1 項目以上に該当する者)
- TOEFL iBT で 79 点以上、または PBT で 550 点以上の者
- ケンブリッジ英検 FCE 以上合格の者
- 実用英語検定準 1 級以上合格の者
- TOEIC 780 点以上の者
- Goethe-Zertifikat B2 以上合格の者(ドイツ語)
- DELF B2 以上合格の者(フランス語)
- DELE B2 以上合格の者(スペイン語)
- HSK 6 級 180 点以上の者(中国語)
- 韓国語能力試験4級以上合格の者(韓国 ・ 朝鮮語)
〈条件B〉中学校での成績が優秀な者
国内中学校または海外の全日制日本人学校中学部第 3 学年 1 学期(前後期制の場合は前期)の、9 教科の評価(5 段階)合計が 40 点以上の者
入学できればゆるゆるな高校生活を送りながらも大学進学が約束されるので非常に魅力的です。
同志社国際高校の学校生活や特徴を詳細にまとめた内容についてはこちらの記事をご参考ください。
帰国子女のためになる情報をありがとうございます。
上記のブログにつき1点間違いを訂正させて下さい。
早稲田渋谷シンガポールは早稲田大学の付属ではありません。系属校という分類に入ります。
早稲田大学の付属高校は2校のみで、早稲田大学本庄高等学院と早稲田大学高等学院になります。
ご指摘いただきありがとうございます。
誤情報を記載してしまい大変失礼致しました。
正確な情報をお伝えできるよう情報収集に留意致します。
早速訂正させていただきました。